夜尿症について
奈良県医師会
前田 純宏
「おねしょ(=夜尿症)はいつかは治る」と信じているものの、親子ともにストレスがかかる問題です。
周囲に相談出来ないので「うちの子だけ?」と悩むご家庭も多いと思います。生活の工夫やお薬で治せることはあまり知られていないようです。
【原 因】
以下のタイプに分かれます
@膀胱が小さい(膀胱型)
膀胱が未発達で、尿が貯まらないタイプです。日中もトイレが近く、漏らすこともあります。
A夜の尿量が多い(夜間多尿型)
ひと晩の尿量(尿漏れの量+朝一番の尿量)が250cc以上と多い場合は、このタイプです。抗利尿(尿を濃縮して量を減らす)ホルモンが夜間減少している可能性があります。
Bその他の原因
持続的な尿漏れや極端な頻尿がある場合は、超音波検査、CTなどの検査を勧めています。まれに、腎臓や膀胱の構造の異常が見つかります。環境の変化など、ストレスから夜尿症が急に始まることもあります。
【治 療】
A .生活の工夫で治す方法
@三原則「おこさない、おこらない、あせらない」
以前は「夜間に起こすのが良い」と言われていましたが、現在では「起こしても改善しない」という考えが主流です。
A夕食後の飲水、塩分制限
塩分の多い食事、多量の牛乳などは実際の飲水量以上に尿量を増やします。夕食以後の飲食に注意して、夜間の尿量を減らすようにしてください。
B日中の排尿を我慢する練習(膀胱訓練)
尿意があってもすぐトイレには行かず、少し我慢する訓練です。病医院で提供する計量コップ・排尿日記を使って、医師に評価・診断してもらいます。
B.お薬などで治療する方法
@膀胱を膨らませる薬(膀胱型に有効)
寝る前に服用します。数種類のお薬があり、効果や相性によって切り替えます。6歳ぐらいから使用できます。
A夜間の尿を減らす薬(夜間多尿型に有効)
寝る前に点鼻(鼻の粘膜に落とす)します。@の薬より即効性があり、「お泊まりの日」に使うのが効果的です
B干渉低周波治療
大人の頻尿・尿失禁治療に効果のある新しい治療ですが、夜尿症への効果も期待されます。下腹部とおしりに心電図のシールのようなものをつけて、低周波を伝えます。痛みや副作用が少なく、小児にも適した治療です。
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以上、「治せる病気」として、前向きな気持ちになっていただければ幸いです。